映画 吐き出したいだけ インプレッション

映画を観て感じた個人的な感想や考察を書き殴るポンコツレビュー

ワンピース FILM RED

 

なんか、ワンピの皮を被った超古典的なSF映画って感じでビックリした…開幕からプリパラでぶち抜いってさらにびっくり、この攻め攻めの内容が、今、累計発行部数1位の漫画・アニメファンの方々にお出しされている事実に衝撃。まさに新時代か。そしてめちゃめちゃ上手にまとまってた!劇場で大正解。

 

もはやこれワンピースじゃなくてもよくね?感が否めないが、そこを調和させるための装置としてウタというキャラクターの消費の仕方が完璧だった。ストーリーの成立や落とし所、大人の事情含めて全部上手杉!

 

国内トップの少年漫画に、これまた国内トップのアーティストたちを掛け合わせて、出来上がった作品がコレというのが感慨深い。日本のエンタメの粋を集めて、共産主義ディストピアの王道SFを大衆向けアニメ映画へと昇華させる"新時代"よ。

 

 


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観る前は、劇中で歌が7曲も流れるということで(ミュージカル映画?ワンピースの看板背負ってるのにかなり攻めてるんじゃない?...大丈夫かなこれ...)と結構不安だったけど、実際に観てみるとびっくらポン!完全なる調和...!調和どころか、もはや楽曲無しでは物足りない、もう一回観たいぞ!!なんて思ってしまうほど。

 

なんか構成的にHIGH&LOWを思い出した。

MVと映画が融合してるようなあの感覚。なんかよくわからんけどかっけぇ!みたいな。

しかしもちろんHIGH&LOWよりもしっかりとしたテーマや内容だし、かっけぇ!だけじゃなくてカワイイ!!成分も含まれているのでやはりFILMREDはすごい。

 

そして開幕でいきなりプリパラ的演出で、おそらく一般的ワンピースファン達を置き去りにして有無を言わさずライブを展開していく突き抜け具合がいい。

3Dモデルのウタが可愛く踊り始める非少年漫画的演出を丁寧に体感させられ(うん?これプリキュアのEDとかそういう感じのやつじゃない?)とか思い始めた観客に「これ、こういう映画だからよぉ!」っていう意気込みを1曲目の新時代で叩き込む。

このあたりに強いプリパラ・キンプリ味を感じた。


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そう、ウタはアイドル!

アイドルなんだから当然の演出!!

日本の女児向けコンテンツ、そしてコアなオタクを喜ばせるために培われてきたアイドルアニメの文脈が今、あのワンピースと融合している!!陽キャが好きそうなアニメランキング第一位のあのワンピースとだ。「国民的アニメ」と名高い大衆向けの大衆漫画の象徴であるあのワンピースとだ!!なんとも感慨深い。まさに新時代。

恐るべしFILMRED。ワンピースを愛し劇場まで足を運んだ老若男女の全てに、等しくこのプリパラ成分を注入してしまうのだ。添えられた楽曲もまた現在の日本を索引している代表的なアーティスト達が提供したものである。極上の演出である。まさに電子映像ドラッグ。抗えるはずもない。我々日本国民は等しくまたアップデートされてしまった。

 

しかも、プリパラやキンプリのライブで突如出現する原理不明の謎の舞台装置や魔法のような不思議パワーの数々が、この映画では全てウタウタの実の能力だからということで説明がついてしまうのだ。なんて素晴らしいキャラクターなんだウタ!!隙がないぞFILMRED!!

 

 

 

なんにせよ、演出、音楽、振り付け、テンポ、キャラクターのどれも素晴らしかった!半分MVみたいな感じもするが、音楽や曲の入るタイミングや構成がしっかりストーリーと噛み合っていて、場面転換やウタの心情の変化などを効果的に演出していてすごかった。その曲自体も、Adoの素晴らしき歌唱力+楽曲提供した新進気鋭の重鎮アーティスト達のコラボパワー恐るべし!と言わざるを得ない。音楽単体でも素晴らしいが、歌詞や曲調が映画の場面場面にクリティカルマッチしていて、劇中で突然歌が始まっても違和感がないどころか、むしろこの楽曲たちがなければ成立しえない盛り上がりだらけだった。iTunesSpotifyでランキング上位を総なめしたのも納得である。まさにジャパニーズポップカルチャーの集大成。是非劇場の大きなスクリーンや迫力ある音響の中観ることをお勧めする。

内容的にはほぼ、”ウタ”のワンマン映画だからスタンピードみたいなのが好きな人には少し物足りないかもしれないけど、シャンクスはしっかりカッコいいし、人気キャラクター達もちょこちょこ活躍するのでしっかりワンピースもしてたと思う。赤髪海賊団も意外と長尺でバトルするので、その辺のファンの人たちは嬉しいと思う。ラストバトルは激熱だったと思う。

 

ラストは、まぁ、そうだよね。って落としどころだけど、それがまた良い。

2回目観る時なんかは1曲目から泣けるし、ストーリーや背景を把握したうえでもう1度ウタのライブを観ると初見じゃわからなかった演出の効果やウタの心情の変化なんかが理解できて面白切ない。

 

 

以下、ネタバレ、感想、文句

海軍が突然防音マスク装着しはじめたけど、そのヴィジュアルがめちゃくちゃ安っぽいSFの敵役っぽくて笑った。藤虎さんそんなのつけないで。かっこ悪いから。

その時の戦闘シーンで流れるウタカタララバイの演出もネズキノコを食べたこや、その効果も合わせて、背景がドラッグでトリップしてるような演出になっていて面白かったしAdoの歌い方からもウタの精神が狂気に蝕まれている様を絶妙に表現してるし歌詞もあっててすごいと思った。全曲こんな感じだからすごい。

個人的には逆光が流れるシーンが好き。楽曲もいいし、バトルへの導入や振り付け、演出がかっこよかった。

 

歌だけでなく、BGMもよかった。

ラストバトルで新時代とウィーアーが融合してるところか盛り上がるし、その前の津田さんがルフィに必死にウタを助けてくれって懇願するシーンで音がピアノだけになってるところが最高にエモい。そこに響くルフィの「あたりまえだ」がまたエモい。

 

ウタの境遇がしんどいし切ない。

それらを理解したうえで2回目のライブに行くとよりしんどい。

 

内容的にはワンピースじゃなくてもできそうだけど、ワンピースだから、あのシャンクスだから、いろいろと込み上げてくるモノも多いだろうし。

ワンピースというコンテンツが積み上げてきた歴史やストーリーが十分活かされていたと思う。

ウタを媒介に、様々なメディアやコンテンツがワンピースと融合して一本の映画となったことにジャパンの本気を感じた。

 

感動SFアイドル海賊バトル親子愛映画だった。

 

 

10点満点中・・・10点!!