映画 吐き出したいだけ インプレッション

映画を観て感じた個人的な感想や考察を書き殴るポンコツレビュー

来る


久しぶりのレビュー。

〜あらすじ〜
・ちが…つり…
・あ、あれが来る!
・オムライス


ストーリー・・・・★★★★☆
設定・・・・・・・★★★☆☆
怖さ・・・・・・・★★★★☆


岡田准一×黒木華×小松菜奈!映画「来る」ロングトレーラー


好みの映画だった。
カルトの上位互換って感じ。
土着信仰や怪しいまじない、儀式胡散臭い霊媒師とか大好きだからこの映画はガッツリストライクだった。
しかもありふれた設定で同じ様な内容のB級映画が腐るほどある中で、この映画は一線を画した完成度ですごいと思った。
怖いし、面白し、盛り上がるしで満足度高し!
冒頭から突如始まる謎のクソダサオープニングもかっこいいし、エンディングもかっこよかった。

お決まりの様式美をしっかりと踏襲してストーリーを進めてく中で、丁寧にホラーの描写を描きつつ、笑っちゃうくらいぶっ飛んだスケールをこれまた丁寧にぶっ込んできて突き通す感じが上手いというか、やりたい事ややってんなぁ〜笑って感じに半分ニヤけながら観れた。使い倒されてもうあんまり刺激を受けなくなったホラー映画の様式美とダイナミックなエンタメ要素を見事に融合させた感じで面白かった。
全部コテコテなんだけど、そのコテコテを加減知らずに詰め込んで貫き通して上手く昇華させてる感じが面白い。そうくるか!みたいな…

落とし方がまた象徴的というか、よくあるホラー映画とはハッキリ毛色が違って、この映画らしくていいなと思った。ダサかっけぇ。


〜ここからネタバレ、感想〜

冒頭の妻夫木のシーンがラストでそこに繋げて行くのかと思いきや割と前半でその場面を迎えてびっくりした。
水の張ったお椀を出来るだけ廊下に並べるとか、ああいう不気味で儀式めいてるの大好き。怖い。他にも鏡割ったり刃物隠したりそれっぽい。
あれが水の張ったお椀を蹴っ飛ばしながら廊下爆走してくるとこのか超怖かった。
そして妻夫木の死に様が思ったよりグロい…
死因を家族にどうやって説明したんだろう。

場面が進むつれて群像劇のように視点が登場人物事に切り替わって家庭内の不和や人間関係のほつれが明らかになっていって面白い。
あれの正体は終始わからないままなんだけどその辺の人間ドラマがミステリチックで面白い。時系列とともにその視点で描いてる人が死んで次に人にバトンタッチしてまた死んで切り替わるってのも自然で見やすかった。
妻夫木→カナ→岡田の順で最終的に第三者の岡田で締めるのが面白い。
結局全員知沙を愛していたけど最期は全くの他人で子供は嫌いだと言いつつも堕胎させた事にトラウマを抱えていた岡田の元におさまるのが面白い。

オチがちょっとコミカルというか、突然知沙のオムライスの歌が割としっかり流れて、このまま落ちるのか?と思わせといて、岡田の「なんだそりゃあ」の一言で締めて暗転。ダサかっこいい流れでエンディングへ〜ってもうこのテンポといい最後の「なんだそりゃあ」で終わりな所といい、ちょっとコミカルで皮肉めいてたり、1回かわいい夢を挟んでるせいか、さっきまでの超常現象や激怖の化け物とかが嘘みたいに拍子抜けした温かい雰囲気になってたりで面白かった。
岡田がどういうつもりで「なんだそりゃあ」って言ったのかはわかんないけど、いろんな感情が詰まってるような気がしたし。知沙の夢に対してなのか、それとも今この現状と自分達の置かれている状況なのか、はたまたこの作品のオチに対しても意味をかけた「なんだそりゃあ」なのかいろいろと考えられて面白かった。
あとふとファイトクラブの落ちを思い出した。
作品の中でのキャラクター達のこれからとかそういうのは無しにしてとにかく「面白かったでしょ?」っていう製作者の思いが感じられた。
琴子はあれに勝てたのか?とか仮に勝てていたとしても仲間全滅しちゃって明日の別案件とかこれからの日本は大丈夫なのか?とか本当に知沙の中からあれは消えたのか?とかいろいろ突っ込んで想像したくなるけど、そういうのはぶん投げて「この作品はここでお終い!楽しめた?最高のエンタメだったろ?」って言われてるような気がしてくる「なんだそりゃあ」だった。コントのオチみたいで見終わったあと清々しい気分になれる。
あとエンディングの最後のカーンッ!!!って音と共に左下に「完」って出くるのかっこよかった笑
それも相まってキレイに気持ちが切れたというかモヤモヤ残さず映画から気持ちが離れた。知沙の夢と岡田のなんだそりゃあとカーンッ!!!(完)で気持ちよく終わったというか、細けぇことはいいんだよ!とか考える間もなくただただ映画の余韻を感じるだけの気持ちにスイッチさせられて気分がよかった。
ホラー映画のオチって、実は解決してませんでした〜、除霊失敗してました〜、悪霊逃げてました〜。的なBADENDよりのモヤモヤを視聴者に投げて、見終わったあとも恐怖を引きずらせる感じの放り投げエンドが多いけど、この映画の放り投げ方はそういうタイプじゃなくて新鮮だった。



あと雑多な感想としては
妻夫木の悪意のないクズ行為がよかった
カナちゃんは生い立ちから最期までただただ不憫だった…
松たか子のキャラ付けと初登場シーン笑えた。キャリーバック持って神社の前にいるって…もっとなんとかならんのか笑

そして全国から神職集合させてお祓いフェスやる所とか最高にテンション上がった。
集結シーンもテンション上がるし、その中で何人か殺されてくのも面白かった。
やべぇよやべぇよ!ったなった。
まさかあの気のいいおばちゃん集団達があんな風に殺されるとは思ってなかったし、死に方も容赦なくドラマチック笑
電車で来てたおっちゃん達が「これは相当やばいんちゃうか?別れて行った方がええ」とか言うところも、神職側のプロレベルの高さと、あれの力の強さの両方が伝わってきてテンションがあがる、これからバチバチの決戦に互いが向かっていってる感が熱い!

その後に琴子が岡田に「今日仲間が半分やられました」ってさらっと言うところでまたやべぇよ!感が高まる。

そんで琴子が警察とか官公庁を駆使してマンションや付近の一角を封鎖しちゃったり、宗派関係なく神職ごちゃ混ぜにとにかくお祓いさせたり、機会で心霊解析チームみたいな人も読んじゃったり土建屋も使って公園に即席神社ぶっ立てたりどんだけ権力持ってんだよって笑っちゃうくらいスケールがでかくてそれを大真面目に突き通すところがおもしろい。
で、そのメンバー達が集結して着々と準備を整えてるシーンがまたテンション上がる。

それからいざ祓う時が来ての「まず鳥が鳴きます」→「ケーコーーー!」がもうなんかかっこいい。っていうか画の撮り方がかっこいい芸術点も高い。現代的な市街地の中にバッチリ着物きた佇んでる異質な感じがいい、時間も黄昏時で異界感でてる。
あとあれが来る時にみんな「来るよ!」って察するのかっこいい。
そんでもう踊ったり唱えたりもうわちゃわちゃに祓い始めるのが壮観、マッドマックスかよってなった。そして次次に血を吐いて倒れていく様がやばい。まぁ分かってたけど。
そしてこんなに選りすぐりのエリート達が力を合わせながらもバッタバッタ倒れて言ってるのに平然としてる松たか子は一体どんだけ強いんだよと…この辺のガバガバスケールももうなんかかっこいい。


とにかく丁寧にだけど豪快に綺麗でダイナミックに不気味で美しく楽しく気持ちよく感じられる映画だった。

10点満点中・・・・9点!!